減価償却
建物などの資産価値を年数で分けて経費計上する仕組み
この記事でわかること
減価償却とは、建物などの資産価値を耐用年数に応じて経費として計上する会計・税務上の仕組みです。不動産投資では、帳簿上の経費が増えて課税所得が圧縮されるため、節税効果があると説明されることが多いです。
ただし、減価償却は「現金が手元に残る」わけではありません。帳簿上は赤字でも、実際のキャッシュフローは黒字という状態が起き得ます。キャッシュフローと税務は別物として理解することが、不動産投資の判断で最も重要なポイントの一つです。
なぜ減価償却を誤解すると投資判断を誤るのか
「節税できる=儲かる」と混同すると、実態以上に魅力的な投資に見えてしまいます。減価償却は将来、売却時に圧縮した分が譲渡所得として戻ってくる(いわゆる償却資産の益金算入)場合があり、節税は一時的なものに過ぎないことがあります。
- 帳簿上の赤字と、手元のキャッシュフローは一致しない
- 節税目的だけの投資は、家賃収入・出口戦略が弱いと損失固定化しやすい
- 売却時に譲渡所得税が想定以上に大きくなることがある
- 株式投資には基本的に減価償却の概念がないため、比較対象が異なる
考え方・進め方
①税引前キャッシュフロー(家賃収入−ローン返済−管理費−修繕費)を先に計算する。②減価償却費を経費として入れた税引後CFを別枠で確認する。③売却時の譲渡所得・償却資産の扱いを概算に入れる。④「節税後の手取り」だけでなく、「10年保有した場合の総収支」を見る。
例: 年間家賃120万円・ローン返済100万円・管理費20万円・減価償却80万円の場合、税引前CFは0円でも、帳簿上は80万円の赤字(経費超過)になり、所得税が還付・軽減されることがあります。しかし現金は毎年20万円(120−100−20)流出しており、出口がなければ累積負担になります。
減価償却は「税金のタイミングをずらす仕組み」の一つとして捉え、節税だけを目的に投資を決めないことが大切です。キャッシュフロー試算と売却シナリオをセットで確認してください。
よくある誤解
- 「減価償却=現金が増える」→ 帳簿上の経費であり、手元資金は別
- 「節税できれば必ず得」→ 売却時に税金が戻る、家賃が足りない場合も
- 「赤字=損している」→ 税務上の赤字とキャッシュフロー赤字は別概念
- 「節税目的で買えば正解」→ 出口・家賃・金利リスクの方が本質
図表
| 項目 | キャッシュフロー | 税務(減価償却込み) |
|---|---|---|
| 家賃収入 | 入金として計上 | 収入として計上 |
| ローン元金返済 | 出金 | 経費にならない |
| 減価償却 | 現金支出なし | 経費として計上 |
| 結果 | 手元の増減 | 課税所得の増減 |
ポイント
- キャッシュフローと税務は別々に試算する
- 節税だけを目的に投資を決めない
- 売却時の譲渡所得税も含めて総収支を見る
よくある質問
減価償却とキャッシュフローの違いは?
節税効果は永久に続きますか?
減価償却を理由に投資すべきですか?
株式投資にも減価償却はありますか?
- 参考: 国税庁タックスアンサー「減価償却のあらまし」 (確認日: 2026/07/25)
本稿は減価償却・不動産投資の税務の一般的な説明であり、税務申告や節税策の助言ではありません。耐用年数、償却方法、譲渡所得の計算は個別に異なります。税理士等に確認してください。
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